医療の知識がない人にとって「良い歯医者」を見分けるのは至難の技です。
しかし、誰だって腕が良く、優しく、正しい治療をしてくれる歯科医師に診てもらいたい、という欲求は変わりません。
今回は「口コミ業者」を使い、口コミ業者を利用している歯医者の推測方法を考えてみたいと思います。
「口コミ業者の利用=悪」ではないが、経営者の倫理観には問題がある
もっともよく利用される口コミとして、Gogoleビジネスプロフィール(Googleマップ、旧Googleマイビジネス)のものがあるかと思います。
実はGoogleのガイドラインでは、店舗が口コミを集める際に禁止している事があるのです。
- 口コミ業者の利用禁止
- 金銭を払って口コミ業者にクチコミ投稿の依頼をする事は禁止されています。
- 金品の受け渡し禁止
- 顧客に対し割引や商品券で、口コミを依頼する事は禁止されています。
上記はいくつかある禁止事項のうちの一部ですが、googleではこのように、誰もが安全・公平にサービスを利用できるようにするため、口コミの投稿に関してルールを設けているのです。
このように「やってもバレない」ルールは、治療や保険点数の請求にも存在しています。
このことからGoogleのガイドラインすら守らない医院経営者の倫理観を推し量る事ができます。
口コミの投稿のペースが異様に早い歯医者は要注意
ある時点から口コミの投稿ペースが異様に早い歯医者は要注意です。
医院経営・飲食店経営を行っている人であれば実感している人も多いかもしれませんが、口コミはそう簡単に集まりません。前述のように「禁止されているような仕掛け」を使わない限り。
それでは、どのくらいのペースで口コミが投稿されていれば「異様に早い」と言えるのでしょうか。
歯医者さんが「診る事ができる患者さんの数」から逆算してみましょう。
歯医者さんの環境を仮定する
- 診療時間 : 10時 – 19時
- 昼休み : 1時間 (診療時間 8 時間)
- 患者1人あたりの診療時間 : 平均45分
- キャンセル率 : 15%(業界平均)
- ユニット数(椅子の数) : 5つ
- スタッフ : 歯科医師1名 , スタッフ6名
- 患者1人あたりの来院回数 : 1.5/月
- 診療日 : 20日/月
患者さんの数を推定する
「かなりそこそこ繁盛している歯医者さん」を想定しています。自費を含め年商1億、いかないくらいでしょうか。
ここから「診療できる患者さんの数」を推定します。
{(8時間*60(分)*/30分)*稼働率85% }*5ユニット*20日 /平均来院回数 1.5 = 604.4人/月
と推測する事が出来ました。売上としては、かなり上位だと思います。
さて、この数字の中には「治療中の患者さんと、新しく来院した患者さん」が入っています。
長く経営している医院と、そうでない医院によってその割合は異なりますが、初診の人数は10%がいいところでしょう。なので新しく口コミを書く可能性がある人は60人/月、ユニット1つあたりになおすと12.5人/月がいいところです。
口コミの投稿率と動機
凸版印刷グループのONE COMPATHが口コミの投稿率に関する調査を行っています。歯医者に関する調査ではありませんが、こちらにを参考にしてみましょう。
- Googleに口コミを投稿した事がある人 30%
- 口コミの動機 20%くらいクーポンや特典(Googleは禁止している)
- 口コミの動機 15%くらいがネガティブ
- 口コミの動機 65%くらいがポジティブ
歯医者とは業界は違いますが、ざっくりこんな感じみたいです。美容や飲食店異なり、歯医者の場合は口コミの投稿割合自体は下がりそうですが、ここはとりあえず「明らかにズルをしている歯医者を見抜く」という目的のため、多めに計算しておきましょう。
- 4ユニットで 60人/月 * 30% = 18人/月
と推定する事ができました。もちろんこれは「口コミを投稿した事のある人の割合」なわけで、必ずしも全員が投稿するわけではありません。サービスが想定以上に良かったり、悪かったり、特典があったりして18人/月の人が口コミを書くわけですから、投稿に至る数はもっと減ることになります。
1ユニットになおすと 3.75人/月 が「クチコミ投稿予備軍」という事になりますね。
口コミ業者を利用しているヤブ医者をざっくり見積もる
かなり甘いボーダーラインにはなりますが、少なくともユニットあたり 3.75人/月 が「口コミ投稿予備軍」ですから、歯医者さんのウェブサイトを確認した上でユニット数を把握し、3.75を掛けた数と、月あたりの口コミ投稿ペースを比較する事で「明らかな黒」判定をする事は出来そうです。
他にも判定方法はある
もっと簡単な判定方法もあります。たとえば、このような口コミはクチコミ代行業者を利用している可能性が高くなります。
- クレームが直後から口コミが増えている(掻き消すために業者に依頼している)
- ほとんどの投稿者が他の店舗をレビューしていない(これを攻略する口コミ業者も存在します)
- なんだか文章が似通っている
- 具体的なシーンが描かれた口コミが見当たらない
口コミの平均点だけをみるのではなく、内容をきちんと評価して歯医者さんを選びましょう。